hibitの技術系メモ

数学とか3Dとか翻訳とか

VRChatを目的にする人、VRChatを手段にする人

(どちらが優れているとかどちらが劣っているとか、そういう話ではないですよ。念の為。)

 どうも、hibitです。去年の12月~今年の1月にかけて今更ながらBeat Saberにハマっていました。と言っても、難譜面攻略や高ランクを目指す訳ではなく、人類がまだ経験していない芸術アートである(と勝手に思っている)逆手セイバーを確立・普及させるという使命(であると勝手に思っている)を果たすべく、

 などの環境構築・技術習得を主に行っておりました。という訳で動画観て。

 これらの活動をできたのは、えんぢょ氏がdiscord鯖に誘ってくれたことが大きくて、この場を借りて感謝の念を申し上げます。また、技術面においてはチャイロ氏(100万再生おめでとう!)にはいつも素早いお返事をいただきました。ほか個別に名前をあげていくとキリがないので割愛させていただきますが、皆様にはお世話になりました。ありがとうございました。

 そうそう、チャイロ氏の動画、100万再生超えたんですよね。すごい!

 先日、それをお祝いしてVRChat(VRC)上でバーチャルオフ会的なのが開催されました。

f:id:hibit_at:20190114013429p:plain ※バーチャルプライバシーに配慮してバーチャル目線を入れています(意味あるのか?)

 一瞬で集まれて、離席も気兼ねなくできて、それでいて空気はオフ会そのもの。いやあ実に便利な世の中になったものだ。

 実は上に書いたことはすべて報告・宣伝・前置きで、その時に感じたことが本記事の内容になります。VRCには、それを目的にする人と、それを手段にする人とがいるということです。

VRCを目的とする人

 私のVRキャリア(?)はVRChatから始まっていまして、2018年の4月からのものになります。その頃は、まだ販売アバターも豊富ではなく、アバターといえば改変(というかミコちゃん)か自作かという感じでした。当然、アバターの自作は、

  • ポリゴン編集
  • リグ付け
  • UV展開
  • テクスチャ付け
  • Unityでの調整

 といった長大な手間を要するものであり、その過程で自然にその人のこだわり・創造性、言ってしまえば「魂」が宿るものでした。

 当然、そのような状況では、VRCで出会った人との会話もアバターに関するものが多くなり、「アバターが自作かどうか」「シェーダは何を使っているか」というものはとっかかりとして定番でした。また、アバター以外の話題であっても、ワールド作成であるとか、どのようなVRバイスを使っているか、というものになりやすかったと記憶しています。

 このような状況は、VRCにいるだけでどんどん情報共有がなされ進化が起こりやすく、それがまたさらなる進化を……という好循環を生み出しやすく、そのおかげでVRCには活発なコミュニティ群がいくつも出来ていました(今も出来ているのかもしれませんが、あまり把握できていない……)。つまりVRCそのものがVRCにいる目的になっていた訳です。今のVRCにある豊富なアバターとワールドは、こういった空気の中で色々な人達が切磋琢磨してきたからこそ成り立ってきたものなのだと思います。私も、あの時期にVRCを初めていなかったら、自分でフルスクラッチアバターを作ったりすることはなかったかもな、と今でも思います。

 ただその一方で、「VRCで話すことが、本質的にはVRCに関わること(あとそれにまつわる人間関係とか)以外あまりない」という状況が長く続くことに、少し息苦しさを覚えていたのかもしれません。

VRCを手段とする人

 ここで話を冒頭で話したバーチャルオフ会に戻しますと、そこではVRCに慣れていない人がほとんどでした。joinてなに、フレンド申請ってどうやるの、というそういうレベル。当然、私含むVRC慣れてる勢が先導してアテンド的な働きをやっていました。と言っても、全然嫌ではなかったというか、むしろ新鮮な感じでした。

 アバターも、アバターワールドで借りてきたもので通して、特にそれで十分。VRCに入るのに、別にBlenderやUnityと格闘することは必要条件でも何でもない、という当たり前の事実を改めて感じることになりました(VRCのヘビーユーザーのグループにいると時々忘れそうになります)。こういう空気に触れると、VRC界隈で論争になっていたこと(自作アバター至上主義とかね)がばからしく思えてくる程ですが、こういう気軽な楽しみ方こそ、技術が本来目指すべきものではないのかな、とも思います。

 今後、このようなツールとしてのVRC(もしくは他のVR/ARプラットフォーム)の活用はどんどん進んでいくでしょう。そこでは、アバターもワールドも単なる手段であり、その人の魂を顕現させるものではありません。

それは良いことなのか悪いことなのか

 長期的には良いことだと思います。というのも、自己目的化した同質的な集団は、高い付加価値を生み出しやすい反面、過激化しやすい・排他的になりやすいという側面があります。ライト層の参入は、そういったタコツボ性を壊し、文化を一般化・長寿命化させるという働きがあります。

 そりゃ、いわゆる「古参」「懐古」側の気持ちはわからんでもないですよ。大衆化するとノイズが増えます。事実、インターネットは大衆化してゴミだらけの腐海になりました。パソコン通信の時代や、5ちゃんねる(旧2ch)の時代で時が止まって欲しいという人もいるでしょうが、やはり今のインターネットの利便性があるのは、色々なユーザーを取り込んで拡大してきたからです。それに、腐海の中でも情報を真摯に発信している人はいます。このブログもそうでありたいと願っています。全然関係ないけど、クソみたいなまとめサイトとかコタツ記事とか早く絶滅しないかな。

 いまだ発展途上にあるVR/AR界隈においても、ギーク層もライト層もお互いを尊重しつつ長く共存していけるといいですね、という超無難なまとめで本記事を締めたいと思います。

 そう言えば、Beat SaberもVRゲームのはずだけどあまりVR文化という感じがないですね。根本的に音ゲー文化だから?